コラム キッチン通路幅は90cmで本当に十分?リノベ実例から考える「125cm」の新常識
2026年05月18日更新
家づくりやリノベーションを考えるとき、多くの方が悩む場所のひとつが「キッチン」です。
デザイン、収納量、家事動線、使いやすさ……。
毎日使う場所だからこそ、少しの寸法の違いが暮らしやすさに大きく影響します。
中でも意外と見落とされやすいのが、キッチンの通路幅です。
これまでキッチンの通路幅は「90cmあれば十分」と言われることが多くありました。
しかし、最近のキッチンは引き出し収納が主流になり、奥行きも深くなっています。さらに、夫婦や親子で一緒に料理をするご家庭も増えてきました。
そのため、昔ながらの「90cmで十分」という考え方だけで計画すると、暮らし始めてから
「引き出しを開けると後ろを通れない」
「二人でキッチンに立つと窮屈」
「毎回“ちょっとどいて”と言ってしまう」
といった小さなストレスにつながることがあります。
今回ご紹介するリノベーション実例では、キッチンの通路幅を125cmに設定しました。
この記事では、なぜ今キッチン通路幅に125cmという考え方が必要なのか、リノベーションの視点からわかりやすく解説します。
これまでの常識「90cm」が窮屈に感じられる理由
キッチンの通路幅として、以前は90cm前後がひとつの目安とされてきました。
もちろん、90cmが必ず悪いわけではありません。
一人でキッチンを使うことが多い場合や、コンパクトな間取りでは、90cm前後でも問題なく使えるケースはあります。
ただし、現代のキッチン事情を考えると、90cmでは少し窮屈に感じる場面が増えています。
理由1:引き出し収納が主流になったから
昔のキッチン収納は、扉を手前に開く「開き戸タイプ」が一般的でした。
しかし最近のキッチンでは、奥まで収納しやすい引き出しタイプが主流です。
引き出しタイプは収納力が高く、調理器具や食器、調味料などを見やすく整理できる便利な収納です。
一方で、引き出しを開けるためには手前にスペースが必要になります。
一般的なキッチンの引き出しは、奥行きが約60〜65cmほどあります。
つまり、通路幅が90cmの場合、引き出しを大きく開けると残りのスペースはかなり狭くなってしまいます。
その状態で後ろを人が通ろうとすると、横向きになったり、作業している人に避けてもらったりする必要が出てきます。
毎日のことだからこそ、この小さな不便が積み重なるのです。
理由2:二人でキッチンに立つ暮らしが増えたから
最近は、キッチンを「一人で料理をする場所」と考えるご家庭ばかりではありません。
夫婦で一緒に料理をしたり、子どもと一緒にお菓子づくりをしたり、家族で配膳や片付けをしたり。
キッチンは、家事の場所であると同時に、家族が自然と集まる場所にもなっています。
そのような暮らし方を考えると、90cmの通路幅では少し窮屈に感じることがあります。
たとえば、一人がシンク側で洗い物をしているときに、もう一人が後ろのカップボードから食器を取り出す。
あるいは、一人が引き出しを開けて調理器具を探している横を、別の人が冷蔵庫へ向かう。
こうした動きが重なると、通路幅が狭いキッチンではどうしても動線がぶつかりやすくなります。
リノベ実例で採用した「125cm」の通路幅
今回のリノベーション実例では、キッチンの通路幅を125cmに設定しました。
125cmと聞くと、「少し広すぎるのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、実際に使ってみると、この125cmという幅には大きなメリットがあります。
引き出しを開けても後ろを通れる
90cmの通路幅では、引き出しを開けたときに後ろのスペースがかなり狭くなります。
一方、125cmの通路幅があると、引き出しを開けて作業している人がいても、その後ろを別の人が通りやすくなります。
たとえば、料理中に家族が冷蔵庫へ飲み物を取りに行く。
配膳のために食器棚からお皿を取り出す。
片付け中に別の人がゴミ箱へ向かう。
こうした日常の動作が、スムーズに行えるようになります。
キッチンの使いやすさは、単に「作業スペースが広いかどうか」だけでは決まりません。
人が立つ場所、すれ違う場所、引き出しを開ける場所まで含めて計画することが大切です。
90cmと125cmでは、暮らしやすさがどう変わる?
キッチン通路幅の違いは、図面で見るだけではなかなか実感しにくい部分です。
しかし、実際の暮らしを想像すると、その差はとても大きくなります。
90cmの場合
90cmの通路幅では、一人で作業する分には問題ない場合もあります。
ただし、引き出しを開けた状態では後ろのスペースが狭くなります。
そのため、もう一人が通るときには
「ちょっとどいて」
「一回閉めて」
「通るから待って」
というやり取りが生まれやすくなります。
もちろん、これ自体は大きな問題ではないかもしれません。
しかし毎日の料理や片付けのたびに繰り返されると、意外とストレスになります。
125cmの場合
125cmの通路幅があると、キッチンの中で人の動きが重なっても、ゆとりを持って作業しやすくなります。
引き出しを開けたままでも、後ろを通りやすい。
冷蔵庫やカップボードからものを取り出して、振り返って作業台に置く動作もしやすい。
二人でキッチンに立っても、体がぶつかりにくい。
この「少しのゆとり」が、毎日の家事を大きくラクにしてくれます。
リノベーションでは、限られた空間の中で何を優先するかがとても大切です。
キッチンを毎日よく使うご家庭ほど、通路幅のゆとりは暮らしやすさに直結します。
ただ広ければいいわけではない
ここで注意したいのは、キッチンの通路幅は「広ければ広いほど良い」というわけではないということです。
通路が広すぎると、今度は移動距離が長くなります。
シンク、コンロ、冷蔵庫、カップボードの距離が離れすぎると、料理中の動きが増えてしまうこともあります。
一般的には、キッチン通路幅は120〜130cm前後が、ゆとりと使いやすさのバランスを取りやすい寸法です。
今回の実例で採用した125cmは、まさにその中間にあたる寸法。
二人で作業しやすく、かつ動線が間延びしすぎない、バランスの良い幅と言えます。
リノベーションで125cmを確保するための考え方
リノベーションでは、新築と違って既存の柱や壁、窓、配管、換気経路などの制約があります。
そのため、「通路幅を125cmにしたい」と思っても、単純にキッチンを動かせばよいというわけではありません。
大切なのは、キッチン単体ではなく、LDK全体のバランスを見ながら計画することです。
収納計画を見直す
通路幅を広げると、「その分収納が減るのでは?」と不安になる方も多いと思います。
確かに、キッチンやカップボードの奥行き、配置によっては収納量に影響が出ることもあります。
しかし、収納は単純に「奥行きが深ければ良い」というものではありません。
奥行きが深すぎる収納は、奥に入れたものが見えにくく、取り出しにくくなることがあります。
結果として、収納量はあっても使いこなせないというケースも少なくありません。
そこで大切になるのが、壁面収納やパントリー、カップボードの使い方です。
よく使うものは手の届きやすい場所に。
ストック類はまとめて管理しやすい場所に。
家電は使う頻度に合わせて配置する。
このように収納計画を整理すれば、通路幅を確保しながら、使いやすいキッチンをつくることができます。
三重県でのリノベーションにも合う考え方
三重県の松阪市・津市・伊勢市周辺では、比較的ゆとりのある敷地の住宅も多くあります。
一方で、最近は「広さ」よりも「暮らしやすさ」や「家事効率」を重視したリノベーションを希望される方も増えています。
キッチンの通路幅を広げるということは、その分どこかのスペースとのバランスを考える必要があります。
リビングの広さを優先するのか。
キッチンの作業性を優先するのか。
収納をしっかり確保するのか。
家族で料理を楽しめる空間にするのか。
正解はご家庭によって違います。
だからこそ、リノベーションでは図面上の寸法だけで判断するのではなく、実際の暮らし方をもとに考えることが大切です。
「誰がキッチンに立つのか」
「何人で料理をすることが多いのか」
「冷蔵庫や食器棚はどのタイミングで使うのか」
「配膳や片付けは誰がするのか」
こうした日常の動きを具体的にイメージすることで、自分たちに合ったキッチンの通路幅が見えてきます。
よくある質問
Q. キッチンの通路幅は125cmが正解ですか?
必ずしも全てのご家庭に125cmが正解というわけではありません。
一人でキッチンを使うことが多い場合や、限られたスペースを有効活用したい場合は、90〜100cm前後が合うこともあります。
一方で、二人以上でキッチンに立つことが多いご家庭や、引き出し収納をしっかり使いたい場合は、120〜130cm前後あると使いやすくなります。
Q. 通路幅を広げすぎると使いにくくなりますか?
はい、広すぎると使いにくくなることもあります。
たとえば、キッチン本体と背面収納の距離が離れすぎると、料理中に何度も歩く必要が出てきます。
作業効率を考えると、広さと近さのバランスが大切です。
目安としては、120〜130cm前後がゆとりと動きやすさを両立しやすい幅です。
Q. キッチンの通路幅はどこを測ればいいですか?
キッチン本体の扉や引き出しの面材から、背面のカップボードや収納の面材までの距離を測ります。
壁から壁までの距離ではなく、実際に人が立つスペースとして使える幅を見ることが大切です。
図面で確認する場合も、キッチンや収納の奥行き、扉の厚みまで考慮されているか確認しましょう。
Q. 今の家をリノベーションしても125cmは確保できますか?
間取りや構造によっては可能です。
ただし、キッチンの位置を大きく変える場合は、排水管の勾配、換気扇のダクト、電気配線、床下や天井裏の状態などを確認する必要があります。
特にマンションや築年数の古い住宅では、動かせる範囲に制限がある場合もあります。
そのため、まずは現地調査を行い、どこまで変更できるかを確認することが大切です。
失敗しないために、まずは今のキッチンを測ってみましょう
キッチンの通路幅は、毎日の使いやすさに大きく関わる大切な寸法です。
「90cmあれば十分」と言われることもありますが、最近のキッチンは引き出し収納が主流になり、家族でキッチンに立つ機会も増えています。
そのため、暮らし方によっては125cm前後のゆとりがあることで、家事がぐっとラクになります。
リノベーションを考えている方は、まず今のキッチンの通路幅を測ってみてください。
今の幅で使いやすいのか。
引き出しを開けたときに狭く感じないか。
二人で立ったときにストレスがないか。
今の暮らしを基準にすることで、自分たちに合ったキッチンの正解が見つかりやすくなります。
図面上の数字だけでなく、実際の動きや家族の暮らし方まで考えたキッチン計画。
それが、リノベーションで後悔しないための大切なポイントです。
三重県でキッチンリノベーションや中古住宅リノベーションを検討されている方は、ぜひ実例を見ながら、自分たちにぴったりの通路幅を考えてみてください。